【特集】 激動する日本の教育:2010年
小中高教育の将来(あす)を見つめる
新学習指導要領:移行措置が今春4月スタート
40年ぶりに学習内容増加を盛り込んだ新学習指導要領。小学校は2011年春、中学校はその翌年から全面実施されます。高校については13年入学の1年生から実施し、その後年次進行。これに先立ち、小中学校では新学習指導要領の一部を先取りする移行措置が、09年4月から始まりました。しかし、こうした学習指導要領改訂も、あまりにも深刻化した学力低下の問題解決にはほど遠いとの見方が少なくありません。
一方、中学高校大学入試も、ここ数年その様相が大きく変化してきています。09年には、四年制大学の進学率が史上初めて50%を突破(短大を含めると56%)。そうした進学率上昇の一方、志願者が増加する大学と定員割れが深刻化する大学との二極化が劇的に進行しています。高校入試においては、独自入試問題導入校が年毎に増加。07年には、導入した県立高校10校が、神奈川県では初めての大学進学重点校に指定を受けました。これにより、進学重点校は競争が激化し、一層難化しつつあります。また、中学入試では、小6生の中学受験率が10年連続で上昇。実に、首都圏の小6生の6人に1人が中学受験をする時代に突入しています。
この特集では、09年に移行措置が始まった学習指導要領改訂を含め、目まぐるしい動きを見せる「教育」に関する最新情報をピックアップしました。
小中高教育の将来(あす)を見つめる①
■ 学習指導要領改訂
今回の学習指導要領改訂の主なポイントは、①いわゆる「ゆとり教育」カリキュラムで削減されてきた学習内容の一部復活。②学習内容増に伴う学習時間の増加。小学校低学年では週2時限、小3~中3までは週1時限増。高校は増減無。③小学5年からの英語教育導入。④高校の英語はすべて英語を使って授業を行う。
以上のような改訂を盛り込んだ新学習指導要領。しかし、その内容はあまりにも貧弱であり、底なし状態で進行してきた学力低下問題解決には到底繋がらないとの落胆しきりです。その懸念の第一は学習量。現行指導要領は70年代と比べて学習内容がほぼ半減。主要教科の内容を10%増やした程度の今回の改訂では、いかにも付け焼刃的すぎるとの指摘。学校週5日制のもと、定められた授業時間数を実際に確保できるのかとの疑問。40年ぶりに増えた学習内容や時間増という負荷に、教育現場がスムーズに対応できる環境が整っているのかという強い懸念。今回のような対処療法ではなく、抜本的かつ広範な具体的施策が強く望まれる所以です。
小中高教育の将来(あす)を見つめる②
■ 大学入試
大学進学率の上昇傾向にもかかわらず、深刻さを増しているのが私立大学の定員割れ。09年入試では実に全体の47%。定員充足率(入学定員に対する入学者の割合)が50%以下の大学も31校に達しました。こうした状況が生じた理由は、言うまでもなく18歳人口の減少。そしてもう一つ、大学の設立条件緩和による大学・学部数の増加が挙げられます。
細かく見ていくと、定員割れが特に深刻なのが、地方の私立大。存続さえ危ぶまれる大学がいくつもあります。一方、早慶上智などのトップ私大や首都圏の有名私大は軒並み志願者を増やし益々難化。国公立大学の場合は、私大とは逆に地方の大学が人気を回復。首都圏の国公立大も、高レベルをキープ。全体として大学間の格差拡大、二極化が年毎に進行しています。
小中高教育の将来(あす)を見つめる③
■ 高校入試
公立高の選抜方式は、学力重視型へと大きく転換。改革の柱となったのが、学区撤廃・入試(学力検査)の比重の増大。そしてもう一つがいわゆる独自入試問題の導入。各高校ごとに作成される独自入試は、全県共通問題と比べて問題量が多く、内容もかなりのハイレベル。その意図するところは、公立上位高の大学進学重視にほかなりません。そうした中、07年度県教委は、独自問題導入の県立高校10校を「学力向上進学重点校」に指定。公立高の難関大学進学実績の回復・向上を明確に打ち出しました。
私立高も、大学進学に向けた「特進」・「選抜」・「理数」・「英語科」などのコースを設置するケースが増加。さまざまな形で学校改革が進められています。しかし、その中身や成否、大学進学実績等によって志願者数を増やす私学と、苦戦が目立つ学校との差が広がりつつあります
小中高教育の将来(あす)を見つめる④
■ 中学入試
冒頭にも記したように受験率(中学受験をする小6生の割合)が10年連続上昇。09年入試では、17.8%を記録。実に、首都圏の小6生の約6人に1人が受験したことになります。それに伴い、各中学の実質倍率も相次いで上昇。中学受験は年毎に厳しさを増しています。そうした中にあっても、私立中学の学校改革・入試改革は留まることを知らずと言った様相。特に最近目立つのが、2科目入試から4科目入試への変更。さらには、入試回数の増加や午後入試の拡大。そして共学化や校舎移転・校舎新築。また、早稲田大学が初めて直営の付属中学を新設(10年開校)するなど、私学の新規開校も続いています。一方、首都圏には公立中高一貫校が次々に誕生。入試日の設定や選抜方法などを含め、私学へのインパクトは決して少なくありません。天井知らずの中学受験率上昇、そして公立と私立との競合…激動の中学入試は、新たな段階を迎えています。
学力低下問題がますます深刻化する日本の教育。そして、目まぐるしく変化する中高大入試。
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