夢のエネルギー「核融合」

大野 直子(おおの なおこ)さん

県立横須賀高・東北大学工学部卒
同大学院工学研究修士課程修了うち1年間はボルドー大学修士課程留学
現在東北大学大学院工学研究科博士課程2年、27歳

大野直子さん
憧れの人。私にとって、その最初はキュリー夫人でした。ラジウムの発見などによる二度のノーベル賞受賞。しかし、特許を取ることもせず、決して名誉や富を求めなかった清貧な生き方。大戦中には、自らレントゲン車を運転し、前線の兵士の治療に奔走したというヒューマンな行動。科学者としての研究に没頭しながらも、妻として母として、一途に貫いた家族への愛。小学三年で読んだ伝記は、今も私の頭に鮮明です。

「憧れの人」と、それを「憧れる人」との距離がかけ離れているのは、世の常。そもそも私の場合は、理数の勉強が苦手。ところが、そんな私に転機が訪れたのです。KGC難関S(現D65)クラスでの勉強。今までに無かったことが起こりました。何と、何と、数学がおもしろい。図形の見方や定理に至るまでのプロセス、解法への導き方・・・I先生の授業は、中学レベルをはるかに超える内容でしたが、数学の新しい世界にいざなわれるようで、引き込まれていきました。そのカルチャーショック以降、成績もアップ。高校進学後は、もう何の迷いもなく理系コースを選択していました。

夢を現実にしてきた理学の力。私が、現在取り組んでいる分野もその一つ。人類にとって長い間夢と言われてきた「核融合発電」の研究開発です。太陽と同じしくみでエネルギーを生み出すのが核融合。実現すれば、深刻化する環境問題やエネルギー問題解決に決定的な役割を果たすと言われています。しかし、まだまだ技術的な難問も多く途半ばの段階。例えば、私が研究している核融合炉外壁の材料開発一つとっても、なかなか一筋縄ではいきません。何しろ炉の中は、太陽そのもの。計りしれないほどの高エネルギーに耐える材料を作りださなければならないのです。日夜実験に明け暮れていますが、結果は想定外の連続。だからと言って、もちろん投げ出したりはしません。先達の科学者も、そうした幾多の壁を突き破って功績を刻んできたのですから。それに、私が理系の道へと進んだのも、全くの想定外からのことでしたから。